第7回 退職者の個人情報の取扱いについて

Q. 退職者情報の保管
昨年、印刷会社での胆管癌事故が報じられ、退職者の情報の一定の保管が義務付けられていることを再認識しました。労働安全面では健康診断結果も保管しておくとなると退職者へ通知するなり、個人情報の取扱いでどんな点を注意すればいいですか?
A.

従業員情報としては履歴書、賃金台帳、社会保険関係さらに健康診断結果等が個人情報として保管されていると存じます。法令では健康診断個人票は5年間(労働安全衛生規則)、労働者名簿、賃金台帳等は3年間(労働基準法109条)の保管は義務付けられています。
源泉徴収簿などの書類は、税法上7年が保存期間です。
昨年から注意喚起されている労働安全衛生面で有機溶剤を取扱う従業員には6ケ月毎に特殊健康診断を実施し、その結果としての健康診断個票も5年間保存が義務付けられています(有機則)。また、特化則39 条では特定化学物質第1類、第2類を取り扱っている場合は30年間の保管義務があります。⇒詳細は日印産連発行の『印刷職場の労働安全衛生管理』(平成24年7月第2刷)を参照して下さい。
さて、健康診断の個票の取扱いを個人情報保護の立場からすると、機微な情報の取得となります。JISQ15001では、3.4.2.3 項e)で保健医療又は性生活に関する事項の取得には本人の同意が必要です。
但し、法令に基づく場合はその限りではないと除外されます(3.4.2.6 項a)。現在働いている従業員の健康診断個票の保管に際して有機則、特化則等のものは本人同意とは別に保管の義務があることを承知してもらい、退職後も、法令で保管が定められている期間は、保管する旨を本人に確認しておくこととよいでしょう。

【参考】

厚生労働省「雇用管理に関する個人情報の適正な取扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針(解説)」
参考4に「退職」時点における個人情報の適正な取扱いを確保するための留意点
「@退職者の個人情報については、賃金台帳等の一定期間の保存を定めた労働基準法第109条等他の法令との関係に留意しつつも、利用目的を達成した部分についてはその時点で、写しも含め、返却、破棄又は削除を適切かつ確実に行うことが求められる。仮に利用目的達成後も保管する状態が続く場合には、目的外利用は許されておらず、また、その後も継続して安全管理措置を講じなければならない」
「A退職者の転職先又は転職予定先に対し当該退職者の個人情報を提供する事は、第三者提供に該当するため、予め本人の同意を得なければならない」
と規定されております。
このような対応が求められているため、いつまでも保管しておくことは適切ではなく、3年経過した時点で書類やデータのチェックを行う必要があります。しかし、特定の事情によって、必要な情報を長らく保管しておかなければならない場合には利用目的の範囲内で保管しておくことは問題ないと考えますが、やはり利用目的や保管期間等を明確にした上で保管しておくことが求められると思います。
長くとも10年を目安として、10年を過ぎる時点で、10年を超えてもなお保管しておく必要があるか否かを検討することが必要でしょう。

【事故事例5】

年賀状印刷での誤封入(入れ違い)
昨年末の年賀状印刷受注で、誤封入をしてしまいました。4面付けでオンデマンド印刷をしております。たまたま同じ絵柄で端数の注文枚数でしたので、ヤレというか白紙を減らそうと2件分を面付けして印刷しましたが、結果、梱包時に複数枚の入れ違いとなり、後日両者から別のものが入っていたとのクレームでした。

対応策
すぐに両者へ刷直しして送付、誤送のハガキは廃棄をお願いしました。
当社では、オンデマンドで端数の印刷の場合、こうした心配もあるので「白紙」となってもいいからと口頭で注意はしていたんですが、結果として混入し、さらにそのチェックも絵柄と枚数のみだったため、今回の誤封入が発生しました。
再発防止策として、改めて端数の処理ルールを徹底させ(白紙が出ても良い)、納品チェックに枚数と同時に担当者2名で顧客の名前の確認も行うこととを徹底させました。

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